●その他のユニークな製品紹介
――次に、エボナイトからちょっと離れて、御社のエボナイト以外の商品についてお話をお伺いします。
まずは、御社のカタログで紹介されている「NBRフロート」について。「NBR」というのは、日本語で言うと「ニトリルゴム」ですね。これを御社では、エボナイト同様、素材として提供されているのでしょうか?
「「NBRフロート」は素材ではなく、製品ですね。NBRの主原料は「合成ゴムNBR」というものです。特長として、まず「耐油性」が挙げられます。ほかに、「耐熱性」、「耐薬品性」に優れています。
NBRフロート、フロートというのは“浮き”ですね。何に使われているかと言いますと、NBRの特長を生かして、石油・空調・自動制御器、自動車用として気化器フロート、燃料タンクフロート、航空機用としてエンジン気化器フロート等、様々な工業用フロート材としての用途があります。」
――そのほかの商品として、ご提供いただいたカタログの中に「2wayセラウェッジ」というのがありますね。これは最近の商品でしょうか。
「そうですね。これは、いわゆる“産学協同”で開発、商品化したものです。開発したのは首都大学東京の健康福祉学部で、弊社が製造を受け持ちました。独自の商品として、実用新案登録第3145057号を取得しています。」
――やわらかい材質のようですが。どういう使い方をするのでしょうか?
「そうです、やわらかい。材質は「シリコーンゴム」です。
使い方はリハビリ用として。怪我や障害を持たれて筋肉が動かなくなった患者さんがいますね。その患者さんのリハビリとして使われる補助用具です。」
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セラピスト専用の徒手療法補助器具「2wayセラウェッジ」。色具合も優しいですね。 |
工場内の一部。この中から、“ユニーク”な製品が生み出されてきました。 |
●カラー化に成功したエボナイト――広がる用途
――またエボナイトの話に戻ります。御社で製造・販売されているエボナイト製品で、万年筆がありますね。ボディにはカラフルな「色」が付いていますが、これは特別なインクなのでしょうか?
「顔料ですね、ゴム用の顔料を入れてあります。「カラーマーブルエボナイト」と名づけています。エボナイトの色は元々は黒褐色ですが、エボナイトに、弊社が開発した顔料を入れて色を出すことに成功しました。」
――それまで“黒1色”だった素材に色が付けられるとなると、エボナイト製品の用途はかなり広がりますね。
「そうですね。それに関連して、昨年秋に「良いモノ 一生モノ 出会い展」と題した展示会を開きました。弊社と、クラフトデザイナー、その仲間の方との共同企画です。そこで弊社は、まだ販売されていない新商品のカラーマーブルエボナイトの万年筆等を展示して、大変好評でした。」
――「笑暮屋(えぼや)」さんというHPに紹介されていますね。
「はい、そちらのほうもぜひご覧下さい。」
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カラーエボナイトの自信作。品のある美しさ、職人さんの技術の結晶です。(笑暮屋HPより転載) |
ギターのピック(上)とマーブルカラーエボナイトのボールペン(下)。手触りよさそう。 |
●今後に向けて――若い社長さんの“夢”
――遠藤さんは社長になられたばかりですが、これまで、お仕事の経歴は?
「最初は外へ出ていました。今の会社・仕事とは、関係のないところです。」
――修行で?
「修行というわけではないですが、大学を出て、ダンボールメーカーに就職しました。そこで4年半、営業職に就いていました。」
――まだ若い社長さんですから、今後に向けて、いろいろと、“夢”をお持ちかと思いますが。
「日本唯一のエボナイト製造会社を引き継ぎました。今後も、エボナイトに関わっていきたいと思っています。
エボナイトの製品、用途の一つとして、元々あったのは「文具」ですね。ですから、まずは、エボナイト仕様の文具を製造・販売していくのがベースとしてあります。それから、「楽器」の分野ですね。すでに、笛の「マウスピース」、本体がエボナイトの「ハーモニカ」やギターの「ピック」などを製造・販売しています。例えばハーモニカは、本体は通常、プラスチックで作られていますが、木製のほうが良質な音が出るので、プロの演奏家は木製のハーモニカを好んで使用します。ところが木製であるがゆえに、演奏中に水分で本体が膨張して吹奏感が変わったり、使っているうちに腐食してきます。それをエボナイトにすることで膨張や腐食がないばかりか、木製と変わらないクリアーな音質が出せるようになったのです。
このように、エボナイトには、我々エボナイトを作っている当人にすら測り知れない力を持っています。そういう意味で、私はすべての楽器にエボナイトが使われるといいなと思っています。」
――それは素晴らしい“夢”ですね。エボナイトは未来を明るくしてくれそうな…
「文具一つにしても、一つひとつ手作りで。今はそういう手作りでモノを作る人がほとんどいなくなりましたが、弊社では、手作りの“職人集団”が前提としてあります。大量生産でない、一つひとつ、時間はかかりますが、こだわりを持って作っていくという…。頑張りますので、よろしくお願いします。」
――荒川区は、職人さんの「伝統技術」を大切に守り伝えるという方針を打ち出しています。御社は、ちょうどそんな方針とぴったりマッチするような会社であるとの印象を持ちました。
今日はお忙しいところ、お時間をいただき、有難うございました。
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本体にエボナイトを使用した複音ハーモニカ「間中(まなか)カスタム」。
(第3回TASKものづくり大賞受賞) |
“職人集団”が、お客様のニーズに応えるべく、日々、研究と研鑽を続けています。 |
(おわり)
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